上場企業の決算発表が集中する5月、大手銀行5グループも相次いで2012年3月期の決算を発表しました。そのなかで各行とも「法人税の納税を再開する」方針であることを明らかにしています。上場企業の決算発表、しかもメガバンクと大手銀行のそれで「納税を再開する」などということが真面目に語られ、それが大きな話題となってしまうのが、日本経済の現実なのだと、あらためて確認させられた思いです。銀行界では一部の大手行を除いて、10年以上もの期間、利益が出ても納税しないという、中小企業経営者にとってみればまさに夢のような状態が続いていました。

 りそな銀行(りそなHD)では「2013年3月期に法人税の納付を再開する」と発表しました。法人税を納付するのは、じつに18年ぶりです。みずほ銀行と三井住友銀行も13年から納税を再開する方針で、三井住友が法人税を納めるのは15年ぶりのこととなります。
 みずほコーポレート銀行は今年、12年から納税を再開。三菱東京UFJ銀行は昨年、11年3月期に10年ぶりで法人税を納めました。

 大手銀行5グループの純利益は12年3月期で2兆円を超え、13年3月期も引き続き業績は好調だと予測しています。巨額の欠損金を次年度以降に繰り越すことで「納税をしなくてもいい」理由としていた大手各行ですが、好調な業績によって欠損金の解消が確実視されるようになったため、納税を再開しないわけにはいかなくなったようです。
<情報提供:エヌピー通信社>