今まで、相続に関する法的・税について述べてきたが、我が身に置き換えて考えて見ると、死後のことより、死の前に不安がある。
 私が認知症になったり、事故で回復の見込みがなくなり寝たきりになったときの不安である。
 約30年前、私の父親が亡くなる時、末期がんで、チューブを何本もつながれ、延命治療をほどこされ、体だけが生き続けることに抵抗を感じていたが、それに対する対応はしなかった。

自分の場合は、「延命治療はするな」と妻や子供に言っていたところ、横にいた妻の母が「私も延命治療は絶対にやめて欲しい」と言っていた。この一言が役に立ったのです。
3年前、その母親が病院に担ぎ込まれた時、医師から「あと数ヶ月で、無理だと思います」「延命措置はどうされますか?」と妻に聞いてきた。
妻は「本人の希望で延命治療はするな。でした」といった。医師が私の顔を見たので私は「かねてから、延命治療はするな、というのが本人の希望なので、苦痛をとるだけの治療をお願いします。」と伝えた。
医師はその旨を院長に伝えたようで、延命治療は受けずに、自然死のような最後でした。

 ただ、世の中では延命治療をしなかった医師や病院を訴える事案もあるようなので、今後は医師も病院も用心して対応するのではないか、と思っている。