農業所得の確定申告をお手伝いして感じることであります。今は昔の出来事と言うべきですが一世代前まで、農家の跡取りは田畑を維持するために交替勤務のある国鉄・工場に就職することを選ぶ方が多くいました。「明日田植えですので!、脱穀ですので!・・・」といって休みが取れていました。
(ちょっと前までの兼業農家では・・・)
 一週間でも作付けの時期を逃すと収穫は余り期待できないのが農業であります。そこで勤めのある兼業農家の農作業は土日だけ、その限られた時間で農作業を終了させるには、採算を無視してトラクターなど農機具を大型化させ、夜間にライトを付け夜中まで作業をしていました。
(最近では・・・)
 農作業は、生物・化学・機械などの百を超える知識と技能、経験がなければ、満足な収穫を得られません。しかも体力が必要で、日々仕事で疲れている上の農作業ですから、兼業も45才までが限界であります。そこで、自家消費分以外の分配ゼロ、しかも委託料を払って、地域にある農業法人に一切を任せるお宅が増えています。
(自分の代で田畑をダメにしたくない・・・)
 小規模農業では、今採算を考えることはできません。多くの方はご先祖様から引き継いだ田畑を自分の代で終わりにしたくない意地で取り組んでいます。当代の子供さんは小さい時から農業に係わりを持っていない人が多く、個々のお宅での次世代で農業の継続は困難であります。
(農業法人に期待・・・所有と経営の分離)
 農地を減らす跡取りを「たわけ者」と呼んで馬鹿にする風潮がありました。小規模農業では生計が成り立たない今、農業に情熱を持ち、規模拡大を望む人に機会を与える制度と周囲の理解が必要(束縛からの解放)、小規模農家の限界生産者とする農業政策から、国際価格とは言わなくともコストパフォーマンスの保てる価格を消費者が受入て「日本の食の確保」に関心を持つべきと考えます。
 
星野会計事務所 http://www.tkcnf.com/hoshino/pc/