備前焼の店で、「本物の備前焼はどれか!」と問うたら、店主の答えは「備前焼には二つある、産業育成として生み出された陶器と、陶芸という文化の承継される陶器がある。その違いを考えて頂きたい」とのこと。本物の備前は高度の技能を持つ職人と最高の土との組み合わせで初めて生まれる数少ない貴重な陶器であり滅多に店頭に並ばない(当店にはある)。
(産業と文化)
 備前焼の頂点に立つ本当の陶器を生み出すには、創り出す裾野を広げ、産業として成り立つ様行政の支援が必要であり。そして、誰でも「これが備前」と思える人間国宝の作品が必要。又、数多くの職人、土など素材提供する業者など陶器産業を支える基盤が前提となる。但し、文化の粋である本物の備前は「これが備前」と呼ばれている物とは違う、窯の中で二か月かけて焼き、一皿何万円と原価がかり、数少ない名工によってのみ創り出されるのである。
(文化とは・・・)
 ロクロで産み出される備前焼を、多くの消費者に買い求めて頂くことによって、地域産業としての基盤が出来、栄える、その風土があって始めて、土を練りながら名工が時間とお金をかけて「文化といわれる備前」が産み出される。ですからお客様は、産業として売り出される作品が20万円とすれば、19万円は産業育成のための寄付、1万円は材料代として支払い、もう一品本物の備前焼をご購入頂くという「男気」を是非お願いします。他人に見せる産業産品としての器と、ご自身が密やかに楽しむ本物の備前焼をお持ちください。妙に納得できる話しでした。
 
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