今年度の予算は、一般会計の歳出は総額92兆円、税収見込み37兆円、新規国債発行額は44兆円と戦争遂行時の戦時国債発行と同様な非常時財政であります。戦時国債発行時では戦争に勝つためにと大々的な宣伝を行い勝利の暁には戦時賠償金・資源を得て償還すると国民に政府は理解を求める。


(国民への説明責任を)

 前政権下では財務省主導で「基礎的財政収支の健全化」をテーマに講演会が行われ、増税への理解を求めていた。今、政治主導の財政再建を目指す政府は事業仕分け」などで、以前の財務省主計局業務を公開でムダの見直しを行った後に、増税論議をするとしている。ただ、近々高い消費税等の増税するには、国民に税収がきちんと使われているという安心感・信頼感を高める明確なビジョンの提示が求められる。最近、マスコミには政府への提言が目立ちます。以下は明解な財政再考をを求めている田近教授の提言をお伝えします。


(田近栄治一橋大学副学長の主張 日経2009.12.1 )

 日本が世界経済の中で一定の影響力を保つためにも、不断の経済活性化を図り、成長を促す必要がある。税制もこうした観点で、日本の活力を支える重要な政策の一つとして位置付けるべきだろう。そこで何よりキチンと税収をあげる力を備え、経済成長を阻害しないようにする必要がある。経済活力と社会保障の両立に向けた税制戦略として、以下の、4つの指針を示したい。


(4つの指針)

1,マクロ財政運営の方針を定めること。

 今後5~10年間で削減すべき歳出総額と確保すべき税収総額の提示が求められる。

2,税源についてである。税収確保に貢献し、かつ経済成長を妨げない税源とは何かについて指針を示すべきである。

 社会保障は付加価値税や賃金をベースにした課税でまかなうのが国際的標準であると思われる。

3,勤労所得課税のあり方についてである。

 負担の公平性を実現するために、所得の低い人たちにいったん払った税を還付すべきである。執行に際し、納税者の所得を正しく把握することである。

4,法人税ついてである。

 税率、負担の両面で名実とも高いのは日本だけである。法人税において正すべきは、特別な負担軽減措置を思い切って縮小して、法人税率を下げることである。

 以上のように、少子高齢化や経済のグローバル化のなかで構造的問題を抱える日本での税制面の戦略は、成長と社会保障の両立を目指すことである。



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