郵政見直しの怪
手紙やハガキ等の通信文書は郵便からFAX・e-メールに変わって久しい。今回の郵政見直しは「郵便局会社に郵貯、郵便、簡保3事業から業務委託料1兆3千万円を回すための支援、ゆうちょ銀行預入限度額2千万円(預金保険保証額1千万円に政府の「暗黙の保証」1千万円)にし、金融の収益で郵便が業務改善もせず、単に食えるようにするのか。
(金融健全性のゆがみ)
預金者保護の観点から、通常時は平均所得の2倍程度が世界の常識、日本の平均所得は500万から600万円程度とすれば1千万円、金融市場が成熟し自己責任が満たされるなら下げるべき。政府が3分の1株式保有し非上場である半官半民の金融機関たるゆうちょ銀行の預金限度額を2千万円への引き上げることは、民間企業で「暗黙の保証」や規模の恩恵を持たない地方銀行・信用金庫とでは不公平である。
(「豊かな公共」と「小さな政府」の相反)
戦後建設してきた公共施設、道路・橋梁、上下水道など社会資本は50年間で更新期を迎える。更新する必要資金は年平均8兆1千万円と云われている。現在の公的資本形成の4割に相当する莫大な金額である。その資金調達を「大きな政府」的指向で国債発行し、ゆうちょ銀行に購入を求めるとすることは、財政再建を先送りするに外ならない。そのツケを国民に押しつけないガバナンスを願いたい。
(結局は、マネー教育が必要なのか)
何故、郵便局にお金が集まるのか? 士農工商の意識が薄れないのか、マネー教育の欠如からか預貯金以外の代替運用手段に事欠かない日本でありながら、「老後に備えて先ず貯金・・」と自然に家計の1400兆円が金融機関に間接投資として回されている。今回の郵政見直しで、国民のお金は市場経済の「神の見えざる手」から政府の「見える手」に移ることになるが、政治家のガバナンス能力如何で元利の運命は決まる。どうか単なる集票マシーン&財政赤字補てんの手段に終わらないことだけを願う。
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