今年度税制改正の中小企業関連項目は、これまで以上に中小企業への支援を強く打ち出し、創業から事業承継に至る企業のライフサイクルのステージごとに支援措置が体系的に網羅されています(戦略経営者2008.5号)。それを受けて税理士はどうするか?の一つの回答が、TKC全国会「事業承継対策プロジェクト」の設置であります。以下に概要をお伝えします。


(背景と必要性)

 近年、我が国経済の活力の源である中小企業数の減少の一途を辿っている中(20年で100万社)、経営者の高齢化と共に、後継者の確保がますます困難になっており、事業承継対策は政府の重要施策に位置づけられている。
 一方、中小企業を支援する会計事務所業界においては収益の減少傾向が明らかであり、その主たる要因が顧問料の低下と関与先企業の減少にあることから、中小企業の事業承継を支援することが緊急の課題であると考えられる。


(当プロジェクトの設立の趣旨)

 事業承継対策は一般的に、経営者への動機付け、後継者教育、事業承継計画の策定、株式・財産の分配や相続・贈与税など多岐にわたるため、委員会横断的なプロジェクトとして新たに設置する。


(目的)

1,会計・税務の専門家である我々職業会計人が、関与先企業をはじめとする中小企業の事業承継円滑化を支援することで、我が国経済の発展に貢献する。
2,広く中小企業に対して事業承継対策の重要性と早期の取り組みの必要性を訴え、円滑な事業承継が行われるよう施策、ツール等を検討する。
3,事業承継支援のスキルを高めるため、会員及び職員に対する研修の実施、教材・ツール等の開発を検討すると共に、中小企業庁や中小企業基盤整備機構、商工会議所など、中小企業支援機関等からの情報収集・連携の強化を図る。


(税理士の役割)

 士業の中で最も中小企業の身近にいる税理士が、少子高齢生産人口が減少する我が国の将来に貢献する最前線に立たなければいけない責務を担うと考えます。ずいぶん大げさになりましたが、税理士は税金計算だけと考えず、身近な世話役を演じなければなりません。



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