亀井静香前金融・郵政改革担当大臣が創った中小企業金融円滑化法が3月末で失効する可能性が大きくなった。金融機関にとって、行政によるリスケを強制し、金融機関としての健全な業務を阻害する法案と印象を持たれているが、地方中小企業にとって資金繰りに貢献していることは事実。東日本大震災によって経済の変動は避けられない現状において、支えを失うことに憂慮する。


(税のしるべ 2011.3.14付記事)

 中小企業などの資金繰りを支援するため一昨年12月に施行された中小企業金融円滑化法が失効する可能性が出てきた。政府は今月末で期限切れとなる同法を1年間延長する法案を国会に提出しているが、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」の影響を受け、成立の見通しは立っていない。中小企業を取り巻く環境は依然厳しく、同法が失効すれば、4月以降、資金繰りに行き詰まった中小企業の倒産が急増するとの懸念が広がり始めている。


(立ち後れている経営改善)

 少子高齢化で消費需要が減少し、経済が縮小傾向にあり、中小企業にとって経営の見直しは急務であった。不採算部門の廃し、本業回避し、必死で生き残るべく経営改善に取り組んでいたが、1年では時間が足りない。それでも、金融円滑化法による貸付条件変更を全国で、昨年75万9千社で実施され、5年ぶりに倒産が前年を下回る効果が出ている。


(経営改善計画)

 事業縮小による経営改善は途についたばかり、収入の改善効果より、経営体質転換にかかる支出が多い今年に同法案の一年延長が成立しないければ、致命傷。経済競争下で弱肉強食は致し方がないが、地方に生き残ってもらいたい企業まで倒産となれば、雇用の場を大きく失ってしまう。


(あと一年)

 地方金融機関が融資業務をゆがめる同法案に冷ややかであることは承知するが、いま一年経営の立て直しに日夜奮闘している経営者に時間を与えて欲しい。どうか、国会議員諸先生方におかれては大震災復興だけでなく同法案の審議を切にお願いしたい。



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