毎月東京税理士会より機関誌「東京税理士界」の送付があり、興味深く拝読させて頂いております。東京会では「発言席」との会員による意見表明の場があります。3月と4月の記事は「国税通則法の改正」がテーマで寄稿された内容が反対論文と賛成論文とに分けれており、学ばさせて頂きました。


(国税庁のこれまでの姿勢)

 国税庁のホームページには「国の税金については、納税者自らが、税務署へ所得などの申告を行うことにより税額を確定させ、この確定した税額を納税者が自ら納付する申告納税制度を採用しています。これに対して、行政機関の処分により税額を確定する方法を賦課課税制度といい、地方税ではこの方法が一般的です。
 国税においても、戦前は賦課課税制度が採られ、税務官署が所得を算定し税額を納税者に告知していました。しかし、昭和22年に、税制を民主化するために所得税、法人税、相続税の三税について、申告納税制度が採用され、その後、多くの国税に適用されるようになりました。
 この申告納税制度が適正に機能するためには、第一に納税者が高い納税意識を持ち、憲法・法律に定められた納税義務を自発的かつ適正に履行することが必要です。そこで国税庁は、納税者が自ら正しい申告と納税が行えるよう、租税の意義や税法の知識、手続についての広報活動や租税教育、税務相談、確定申告における利便性の向上など、さまざまな納税者サービスの充実を図っています。」とあります。


(「納税者サービス」と「適正・公平な税務行政の推進」)

 納税者の権利擁護と課税庁の効率化を目的として、国税通則法の改正(国税手続法)が求められ、今国会に上程された。そこに見えるのは課税庁である国税庁はこれまでの「行政サービス(租税教育・税務相談・確定申告等)」業務を税理士会などへアウトソーシングし、徴税・調査に軸足を置く姿勢が鮮明になっています。


(国税手続法への考え方)

 昭和22年までは、賦課課税制度で「税金はお上が決めるもの」から、国民が自ら税額を確定させる申告納税制度に切り替わった。敗戦による財政難での制度変更は多くの困難さをともない今日に至っています。多年にわたる行政先例としてきた慣習法を成文化し、国会の場で改正について論議できる意義は高いと評価する立場と。課税庁と納税者の違いに着目し、二元論的に考察し、問題点を指摘する立場の違いが、東京税理士会機関誌の「発言席」の論調であると読みました。


(税理士会の立場)

 徴税・調査に軸足を移している課税庁(国税庁)に連動して、アウトソーシングに応札している税理士会はその姿を納税者の権利を守るために大きく変貌が求められています。そこで、課税庁と納税者の間に立ち、申告納税制度の維持発展に貢献を求められている社会制度としての税理士はその責務が多岐にわたることとなりました。その転換期に、慣習法として成熟した国税手続法を評価し、納税者権利擁護から改正をもとめることの大事さを、東京会会員の寄稿で再確認しました。



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