金融庁が期待する税理士の役割
7月14日TKC全国役員大会の特別講演で、畑中金融庁監督局長から「地域金融機関における地域密着型金融の推進と税理士に期待する役割」と題して講演を頂いた。以下が私が理解できた内容であります。
(税理士制度の理解)
長寿企業の秘訣は
1,信用を大事にする
2,先を読む経営を行う
3,本業大事であること
税理士の使命は税理士法第一条に、申告納税制度の成立前提として「国民の適正な納税を確保し、それを支える公共的役割と、納税は黒字であって行われる行為であることからの社会的経済的役割にあるとされている。
金融面に置いて税理士の使命を実現させる前提として、金融機関の評価を高める正確な記帳による帳簿の信頼性、遵法精神が求められる。その具体的行動ととして、
1,改ざん不能である会計ソフトの使用
2,企業への月次巡回による監査業務による正確性の担保
3,書面添付制度の実践
(地域密着型金融の取組への監督指針)
地域金融機関は、資金供給者としての役割にとどまらず、中小企業等に対する経営支援や地域経済の活性化への貢献(コンサルティング機能)が強く期待されているが、人材・ノウハウ面から、顧客企業に対し十分なソルーション(経営目標の実現や経営課題の解決を図るための方策)を必ずしも提案できていない。専門人材の育成(目利き能力、ソルーション提案力の向上)、本部による営業店支援、外部専門家・外部機関等との効果的連携等を図っていくことが重要とされ、税理士への期待を言及された。
(金融機関のコンサルティング機能発揮と第三の知見としての税理士への期待)
1,日常的な関係強化と顧客企業の経営の目標や課題の把握・分析での期待として
(1)「巡回監査」等による顧客企業との日常的な面談を通じて得られる情報や、各種経営指標の同業他社比較とにより、顧客企業の強みや経営課題等を把握・分析していること
(2)把握・分析結果に基づき、顧客企業に対し助言を行い、主体的な取組を促す。また、金融機関が顧客企業の経営実態を正確かつ十分に把握できるよう、金融機関に対して助言や情報提供を行う。
(3)顧客企業による正確な財務資料(決算書、試算表、資金繰り表等)の作成を支援する。
これにより、顧客企業が自らの財務内容等を正確に把握できるようになり、顧客企業の開示情報の信頼性や金融機関に対する説明能力の向上につながる。
2,最適なソリューション(経営目標の実現や経営課題の解決を図る方策)の提案に対しての期待は
(1)創業・新規事業開拓を目指す顧客企業に対して、税制や財務会計など必要な知識を提供すること。
(2)経営改善や事業再生が必要な顧客企業に対して、当該顧客が策定する経営再建計画について、中立的な立場から評価。当該計画の実現可能性に懸念がある場合には、更なる経営努力を求めるとともに、金融機関に対して編さっけいかくの見直し等を提案する。顧客企業による業績管理体制(経営環境の変化や計画と実績の乖離等を的確に把握する体制)の構築を支援する
(3)事業承継が必要な顧客企業に対して、顧客企業の自社株評価や相続税資産を実施する。
3,ソリューションの実行・進捗状況の管理においては
(1)「巡回監査」等を通じて、ソリューションの実行状況を継続的にモニタリング、必要の応じ経営相談・始動を実施する。
(2)予期せぬ環境変化等が生じた場合には、必要に応じ、ソリューションの見直しを顧客企業及び金融機関に提案する。
(役立つアドバイザーになって欲しい)
グローバル時代に強い中小企業を育てるために、見えないリスクを見出す専門家の力量が望まれる。日々の努力を重ね、クォリティー(業務品質)を上げて、士業である税理士に士魂を発揮頂き、金融機関と共に中小企業の経営に神が宿れるようご支援をお願いしたい。
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