【質問】
結婚を機にマイホームを購入したかったのですが、どうにも予算が足りません。
そこで、両親の家に私たち夫婦の居住区間を増築することにしました。ハウスメーカーからの見積もりを見て、これなら何とかなりそうです。
税金の面で何か注意することがあったら教えてください。

【回答】
子が支払った増築費用を親が支払っていない場合、親は子から増築費用相当額の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます。
また、増築資金に相当する建物の持分を親から子へ移転させ「共有」することで贈与税はゼロにできますが、移転した持分は子に譲渡したものとみなされ、子に所得税が課税されます。


 サラリーマンの平均年収が10年連続で減少している今、一昔前に「夢のマイホーム」といわれていたマイホームが夢のままで終わる人も増えているかもしれません。

 ご相談の方のように「親の住宅を増築して住む」というケースも増えてくることかと思います。

 このケースでは思わぬ税金が発生することになるので気を付けたいところです。

 親名義の建物に子が増築をすると、その増築部分については、民法上、建物の所有者である親の所有物となります。

 このとき、親が子どもに対して増築費用を支払っていなければ、親は子から増築費用相当額の贈与を受けたものとして贈与税が課税されます。


 なお、子が支払った増築資金に相当する建物の持分を親から子へ移転させ「共有」とすることで贈与税をゼロにすることは可能です。

 しかし、この場合、親が建物の持分の一部を子に譲渡したものとみなされ、移転した持分に相当する金額が譲渡所得として課税対象となります。

 住宅の持分を「共有」とすることが親から子への譲渡にあたるのであれば、親の譲渡所得について「居住用財産を譲渡した場合の3千万円の特別控除の特例」が使えそうな気もするのですが・・・

 実は同特例、売手と買手の関係が「親子や夫婦など特別な間柄」である場合には適用できないとされているため、このケースでは適用できません。

 ご相談の方のような場合、ハウスメーカーや工務店から、細かい税務について十分な説明をされないまま、家を建て始めることが多いように感じます。

 親子間では話し合いが早く済むため、さっさと行動に移す方が多いからかもしれませんが、親子間であるからこそ、税務には細心の注意が必要なのです。

 ご心配な点がございましたら、ぜひ税理士等の専門家にご相談ください。