【質問】
年末調整の時期になって「生計を一にする親族」という言葉をよく聞きます。
生計を一ってどういう意味ですか?
下宿している大学生の息子(仕送りをしている)は、一緒に生活をしていないから生計を一ではないですか?
また、面倒を見ている伯母(金銭面は私たちが負担)は、税務上、親族にあたるのかも不安です。


【回答】
「生計を一」とは、同居しているかどうかが問題ではなく、生活の資を共にしているかどうかがポイントです。また親族とは民法の規定に準拠し、6親等内の血族・配偶者3親等内の姻族を言います。


ご相談の方の通り、年末調整や確定申告の時期になると「生計を一にする」という言葉と出会うことが多くなりますね。(ちなみに読み方は「せいけいをいつにする」です)

所得税法では、至るところで「生計を一にする」が使われています。
例えば、控除の対象となる配偶者、扶養親族、寡婦・寡夫の定義に関する規定などです。
雑損控除、医療費控除、配偶者控除、地震保険料控除などの規定にも登場しますね。

ご相談の方のように、「同じ屋根の下で生活を共にする人」だけをイメージしがちですが、「生計を一」は、意外と幅広いものです。


所得税法の「生計を一」には、勤務、修学、療養など都合上ほかの親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、
(1)ほかの親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学などの余暇にはその親族のもとで起居を共にすることが常例となっている
(2)これらの親族間で、常に生活費、学資金、療養などの送金が行われている
といったケースは「生計を一」と認められます。

 逆に、親族が同一の家屋に起居していても、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合は「生計を一」とはいえません。
「生計を一」とは、生活の「資」を共にしているかどうか、がポイントになります。

では「配偶者」や「親族」はどのようなものでしょうか。
これら2つの言葉は民法に規定に準拠しています。

配偶者は、「戸籍法の定めるところにより市区町村長等に婚姻の届出をした配偶者」です。
外国人の場合で民法の規定によれない人は、その人の本国法に定める要件を満たすことで婚姻が成立した配偶者を指します。

「親族」は、
(1)6親等内の血族
(2)配偶者3親等内の姻族
を言います。

以上から、ご相談の方の下宿をしている息子さんや伯母様も、生計を一にする親族となります。


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