「欠損金の繰戻し還付制度」とは、簡単に言えば、前期黒字で当期赤字の場合に、当期の赤字分を前期に充当して、前期分の法人税の還付を受ける、というもの。

 この制度、しばらくは制度不適用(つまり使用できなかった、ということ)でした。

 ですが、急激な景気悪化を受け、平成21年度税制改正により、適用できる(つまり使用できる)こととなりました。

 この制度は、平成21年2月1日以後に終了する事業年度から、資本金1億円以下の法人が適用を受けることができます。


 この制度の恩恵を受けたい法人は少なからずあると思いますが、大きな注意点があります。


 それは、「この制度を使った場合、必ず税務調査がある!!」ということです。


 これは、実務界でささやかれるような俗説・都市伝説の類の話ではなく、しっかりと法人税法上の明文規定があるからです(法人税法第80条6項)。

 このような「税務調査の実施」の規定が置かれている背景として、還付金の支払いを慎重に行なうため、という理由があるそうです。
 すなわち、前期の所得や当期の欠損金額が正しいかどうか、あるいはこの制度が悪用されていないかどうかを判断するために、税務調査を実施する、ということです。

 (以上、税務通信3066号(2009年5月18日)より)



 要するに、適正な決算・適正な税務申告を行なうことが、この制度の恩恵を受けるための要件、といえるかと思います。 


 時の社会情勢によっては、ここで紹介した「欠損金の繰戻し還付」のような制度も登場することもあります。


 そこで問われるのが、適正な決算・適正な税務申告を実施していたかどうか、ということです。


 いざという時に、適正な決算や税務申告を行なっていないと(極端に言えば、脱税や粉飾をしていると)、せっかくの恩恵も受けられないことになります。

 逆説的に言えば、しっかりと決算・税務申告をしていれば、税務調査が入られても大丈夫ですので、大手を振って、この制度を使うことができるのです。


 ですので、適正な決算・適正な税務申告を行なうよう、ここで改めて申しておきます。


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