サラリーマンの年末調整と確定申告・・・(確定申告特集 Ⅰ)
☆・・サラリーマンは確定申告をしなくてよいか?・・・・☆
個人の所得税の『確定申告』の季節になりました
久々に税金の話題をお送りしたいと思います
そもそも税金(個人の所得税)の計算はどのような仕組みになっているか
①1年間(1月から12月)の収入から必要経費を差し引いた利益を算出する・・この利益のことを『所得』という
(所得には給与所得・事業所得・不動産所得・配当所得など全部で10種類くらいある)
②この所得から所得控除という非課税枠を控除した額が『課税所得』だ
③その課税所得に税率を掛けて算出されるのが所得税の「算出税額」だ
④その算出税額に復興税を加算し、税額控除という非課税枠を減算した税額がその年の所得税の『納税額』になる
通常は『確定申告』という手続きによってこの納税額を確定している
だが・・給与をもらっているサラリーマンなどの場合はこの確定申告の代わりに『年末調整』という方法でその年の納税額を確定し納税している
給与以外に収入がなく医療費などの多額な支出もない方は、この年末調整でその年の税金の計算は完結する。
では年末調整ではどんな計算をしているのだろうか
上の①については機械的だ
1年間にもらった給与を合計する・・これが給与収入となる
(給与とは、手取額ではなく、源泉所得税・通勤手当などを加減算する前の額をいう)
では必要経費は?
給与の場合は給与控除を差引くだけ・・この給与控除はすでに決まっている
年間合計240万円の場合・・給与控除は90万円(37.5%)
年間合計480万円の場合・・給与控除は150万円(31.25%)
年間合計960万円の場合・・給与控除は216万円(22.5%)
給与額が増えるに従い給与控除の率は下がる
そして1,000万円以上は一律220万円だ
よって年間合計1,200万円の場合・・給与控除は220万円(18.3%)
年間合計2,400万円の場合も・・給与控除は220万円(9.1%)・・となる
確定申告と年末調整の違いは②だ
年末調整で控除できる所得控除は限定的なのだ
引けるのは
『社会保険料控除・小規模共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・障害者控除・寡婦控除・配偶者控除・扶養控除・基礎控除』の9控除限定
それと
④の税額控除の『住宅借入金等特別控除』だ
ただし、この住宅借入金等特別控除は2年目以降のみ
(住宅取得1年目は確定申告が絶対条件です)
この年末調整は、給与を支払う会社や事業主が本人に代わって計算をする
(この人たちを源泉所得税徴収義務者という)
年末調整では納税までを一貫して徴収義務者が代行する
1年間の納税額が決まると、その人から1年間に預かった源泉所得税と算出年税と比較する
そして・・預かった額が多かった場合は本人に還付される
逆に少なかった場合は・・次の給与から差し引かれる
年末調整というのは・・こういうものです
その方にその給与以外に収入がなければ・・・
また、引けなかった所得控除がなければ・・・
その方は確定申告をする必要はありません
では、確定申告が必要になるサラリーマンはどんな人か
まずは収入
給与を2か所以上からもらっている人
給与を2,000万円以上もらった人
アパートや貸駐車場などの不動産所得のある人
株式の配当金などが一定以上あった人
金融商品(投資信託など)を一定以上やっている人
上記のような人は確定申告をする義務があります
ただし
給与が一か所で年末調整が済んでいる人は、給与以外の所得が30万円未満なら確定申告の提出義務は免除されます
次に控除
自宅をローンで取得した1年目の人
床上浸水など自宅に被害をおった人
医療費を1年間で10万円以上支払った人
ふるさと納税などの寄付をした人
上記に該当する人は確定申告をすることをお勧めします
『お勧めします』というのは・・確定申告をすれば支払った源泉所得税の一部が還付される可能性があるからです
もちろん確定申告をしなくてもいいです・・その場合還付はありません
税務署から確定申告したらどうですか?・・とは言ってきません
ご自分の判断で決めてください
ただし
確定申告する場合は、給与以外に30万円未満の他の所得があった場合加算しなければなりません
仮に加算し忘れた場合・・後日税務署に呼び出され修正申告の提出を強要されます
確定申告の提出義務がない人が確定申告を提出するか!しないか!・・それは『自己責任』で判断しましょう
以上・・確定申告特集の第一弾です