小売店などでの価格表示は、平成16年から「税込み」の総額表示が義務づけられていますが、来春からの1年半で2段階の消費税率引き上げが予定されていることから、値札の付け替え作業など事業者の負担を軽減するため、平成29年3月までの時限措置で「税抜き」表示も認められることになりました。

 これを受けて、全国360社の食品スーパーが加盟する新日本スーパーマーケット協会(横山清会長=アークス社長、ラルズ会長)では、価格表示を「税抜き」中心にする方針を打ち出しているほか、食料品流通政策を立案・提言する業界団体の日本スーパーマーケット協会(川野幸夫会長=ヤオコー会長。加盟99社)でも、会員各社に対して「税抜き」を推奨するとしています。加えて、 大手スーパーなど57社が加盟する日本チェーンストア協会(清水信次会長=ライフコーポレーション会長兼CEO)でも7月22日までに、「税抜き」の価格表示を基本とする方針を決めました。これにより、スーパー・流通小売業界の足並みが揃い、ほとんどの店舗で「税抜き」の価格表示が主流となりそうです。

 先の国会で成立した「消費税転嫁円滑化法」により、「消費税還元セール」「消費税引き上げ分を値引きします」などの表現で広告・宣伝することが禁じられました。今回、スーパー業界の主要団体が歩調を合わせて、早々に「税抜き」の価格表示を基本とする方針を打ち出したのは、「商品そのものは値上げしていない」ことを消費者へ明確に示すためです。禁止行為とされた宣伝などの表現ではなく、シンプルな「値札」によって、消費者へ企業努力をアピールしていきます。「税抜き」での価格表示に加え、「税込み」の総額表示も併記するかなどについては、今後、業界各社で検討していくとしています。
<情報提供:エヌピー通信社>