市町村合併により突然「事業所税」の課税対象になった会社から、悲鳴の声があがっています。
 事業所税とは、都市環境の整備および改善に関する事業に充てることを目的とした目的税で、人口30万人以上の市に対して課税されます。会社が1千平方メートル超の事業用敷地を所有している場合に事業所床面積1平方メートルあたり600円課される「資産割」と、100人超の従業員がいる場合に従業員給与総額×0・25%が課される「従業者割」の2本立てです。
 人口30 万人を超える市で「平成の大合併」の影響を受けるのは、全国37市(平成21年度末予定)。新たに課税対象となる会社からは「業務上どうしても広い敷地が必要となるため、わざわざ郊外に設置したのに」という恨み節も聞こえ、さきごろ行われた経済産業省の税制改正要望の公募にも、事業所税の見直しについての要望が多数寄せられています。
 現在、合併特例法により合併地域の事業所税には、合併後5年経過するまで「課税免除」または「不均一課税措置」が適用されます。これは、合併で新たに人口30万人以上となるか、すでに30万人以上かで扱いが異なります。新たに30万人以上となる場合、原則課税免除の扱いです。また、すでに30万人以上の市は、合併で新たに課税対象となった地域に免除や減額などを行うことができるとされます。経産省や総務省は税制改正要望に両措置の延長を盛り込みました。
 ですが、不均一課税措置の場合、課税を免除するかどうかは自治体次第で、延長による効果は一部地域に限定されるとみられます。
 経産省の担当者は「法人事業税の外形標準課税などと多重課税になっているという意見もある」とし、「今後制度全体を見直す議論もあり得る」としています。