(その1より続く)

 また、発想や行動が硬直化していて新しいことにチャレンジできないことも多い。カマス理論で中途採用者を積極的に活用したり、外部とアライアンスをするなどして、組織を活性化する必要があります。

 次に、管理会計の導入です。ホンダは得意分野に経営資源を投入するとともに、経費削減を実行し効果をあげていますが、これを実現するためには管理会計を導入し、自社にとって投資すべき分野はどこで、節約すべき分野はどこかを常に把握しておく必要があります。投資すべき分野には戦略経費として予算を割り付け、節約すべき分野は節約可能費として徹底的に効率化するなどメリハリをつけたマネジメントを行うのです。

 景気も厳しく、多くの企業は赤字です。しかし、このような状況でも増益を実現するホンダのような企業もあります。商品開発プロセスの見直し、新たな人材やアライアンスなどによる組織活性化、管理会計による経営資源の効率的なマネジメントなど参考になる施策もあると思われます。自社の経営にどのように取り入れるかを研究し、収益回復を実現していただきたい。

 ※カマス理論:カマスは水槽に小魚と一緒に入れると通常小魚に襲いかかるが、透明なガラス板で両者を間仕切り、何度襲ってもガラスに阻まれる経験をさせると、その後ガラスを外しても小魚を襲わなくなる。しかし、新たに別のカマスを入れると新しいカマスは当然小魚に襲いかかり、それを見た最初のカマスも目覚めたように再び小魚に襲いかかるという話。(了)

(記事提供者:アタックス 諸戸 和晃)