株式上場企業が、株主に対して自社の商品券や自社サービスの優待券などを提供する「株主優待制度」。同制度を実施する上場企業は長らく増加を続けてきましたが、今年はどうやら減少に転じる見通しだといいます。長引く景気低迷の影響で業績の振るわない企業にとって見れば、「利益の社外流出を少しでも抑えたい」といったところでしょうか。しかし、株主優待を目当てに株主になった人にとっては大問題。株主優待を廃止したため「優待目当ての株主」が売りに走ったことで株価が下がった銘柄もあるといいます。
 一方で、業績悪化により配当が出せないからこそ、株主優待に力を入れることで個人投資家の「株式離れ」を防止する企業もあり、株主優待に対するスタンスは企業によってさまざまです。
 ところで、株主優待により提供される物品のなかには、ホテルの宿泊券などそれなりに高価なものも少なくありません。となると、株主優待により個人投資家が得た経常的利益は税務上どのように取扱うのが適当なのかが気になります。
 一見すると「配当と同様に取扱うのか」と考えてしまいがちですが、それは間違いです。
 株主優待による経常的利益の取扱いについては、所得税基本通達24-2により「法人が株主等に対して供与した交通機関の優待乗車券、映画、演劇等の優待入場券、ホテル、旅館等の優待施設利用券、株主に対する値引き販売等は、法人が余剰金または利益の処分として取り扱わない限り、配当には含まれない」とされており、雑所得として取扱うのが適当です。
 雑所得であれば、給与所得や退職所得以外の各所得との合計額が20万円を超えた場合、確定申告が必要となることを覚えておきましょう。
<情報提供:エヌピー通信社>