「ピンチをチャンスに」これからのトヨタに期待! その1」より続く)

 こんな状況の中、2008年9月のリーマンショックで、2009年3月期は一転して大幅な赤字決算となり、その後社長となった豊田章男社長の下でV字回復を目指していた矢先に今回の品質問題が発生してしまいました。恐らく、豊田章男社長以下首脳陣は、この事態を1949年以降最大の危機と認識していると思われます。

 マスコミは今回の一連の品質問題に対してトヨタの対応が不十分であると辛口の報道をしています。筆者はこのことを否定するつもりはありませんが、危機に直面した時のトヨタ社員の団結力、特に製造現場における物づくりの“現場力”は依然として崩れておらず、一流です。

 5年程前、当時政府系銀行の理事をしていた筆者の友人に「トヨタに弱点はあるか」と聞いたことがあります。その時彼は「コンプライアンス問題がある」と言いました。最近、再びこの友人に「これからトヨタはどうなるか」とたずねました。彼は「世界中の人がトヨタの車に乗っているので一度品質問題を起こすと後が大変だが、トヨタにはこれを乗り越える力がある。社員の気持ちが引き締まり、これからトヨタは良くなる」と言っていました。

 筆者も「ピンチはチャンス」の譬えもあるように、新たなトヨタの発展を期待したいと思います。(了)