2009年度版査察白書によりますと、総額約290億円にのぼる脱税が摘発されました。
 今回は、同白書による目立った脱税の手段・方法の一部を記載いたします。

 不動産業の無申告事例では、Aは、都市部の土地売買取引において、不動産購入者から依頼を受けて所有者との交渉を行ったことにより、多額の業務委託手数料を得ていましたが、国内での申告義務がない海外に居住する不正加担者が不動産購入者の仲介業務を行ったように装って、所得税の申告をせずに、不正資金を海外の投資会社で運用していたケースがありました。
 売上除外では、解体工事を営むB社が、解体工事から発生する鉄くずを買入業者に売却し、本業に付随した収入を得ていましたが、仮名取引を行った上で、現金で受領した代金を申告除外して所得を過少にしていた事例がありました。

 また、個人事業者Cは、証券投資信託の譲渡で多額の利益を得ていましたが、個人事業による所得しか申告せず、譲渡利益を除外して所得を過少にし、不正資金を新たな投資に充てていた事例がありました。
 建設業の架空の原価計上では、設備工事を営むD社は、不正加担者に対して架空の原価を計上して所得を過少に申告していました。
 キャバレー・飲食店の源泉所得税の不納付では、クラブを営むE社は、ホステス報酬から源泉所得税を徴収しながら、実際に支給したホステス報酬金額を過少に記載した報酬一覧表を作成し、これに基づいた過少な源泉所得税のみを納付し、本来納付すべき源泉所得税の大半を納付していませんでした。

(注意)
 上記の記載内容は、平成22年7月23日現在の情報に基づいて記載しております。