政府は、中小企業の起業や転業を促すための金融支援の強化にようやく乗り出しました。特に今回はファンドの活用強化のようです。ポイントは2つあると思われます。

 一つは新聞でも報道されていましたが、ファンドを通じたリスクマネーの供給拡大を目的としている点です。すなわち、この制度は将来返済が前提の貸付による資金供給ではなく、一般的には返済義務を負わない株式投資が前提になるのです。しかしながら、実際にファンドから資金供給を受けるということは、将来その出資分は、1)その株式の転売を認める(新しい株主が入ってくるということを意味する。)、2)株式公開により容易に売却可能な状況にする、3)会社で買い取る、等の展開が前提であることは忘れてはいけません。

 二つ目は、地域の民間金融機関と連携し、起業や転業向けの融資と経営指南を一体的にできる仕組みを作る点です。この部分は非常に期待をしたいところです。やはり、創業間もない頃や転業間もない頃は、経営をどのように行えばいいのか迷っているケースをよく見受けます。そんな時、資金だけを供給されても、それを効果的に経営に活かしていくことは難しいものです。(つづく)

(記事提供者:アタックス 林 公一)