上場会社が、公開買い付けの方法(TOB)により自己株式を購入する場合には、これに応じた個人株主に対して、みなし配当課税をせずに、譲渡所得課税が行われるという特例措置が設けられています(租税特別措置法9の6)。

 しかし、2010年度税制改正において、2010年12月31日まで適用する措置及び経過措置を講じたうえで、廃止されることとなりました(改正前は2010年3月31日まででした)。つまり、適用期限が9ヵ月延びることになります。
 そもそも、TOBとは、不特定多数の株主から市場を通さずに株式を買い取る方法で、企業買収、上場企業による関連会社の子会社化及び自己株式の償却の際に行われます。
 なお、この制度によって、1/3超の株式及び新株予約権を買い付ける場合には、株主に売却の機会を公平に与えるために、あらかじめ買い付け価格、買い付け期間及び買い付け株式等を公表しなければならないことになっていますので、くれぐれもご注意ください。
(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成22年8月18日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、会計、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。