昨今は、技術が複雑化・多様化したことにより、技術者教育を全社で統一してコントロールすることが難しくなり、個々の部門あるいは個人に“お任せ”という会社が多くなりました。

 部門や個人の自主性に任せることは良いことですが、各社でその弊害が出ていることも否めません。新聞報道によれば、アルプス電気では、デジタル機器の小型化や高機能化により、部門をまたいだ開発・製造のノウハウが必要な案件が増えてきているという経緯から、今回若手技術者の教育プログラムを統一したとのことです。

 このような流れは今後増えてくるでしょう。なぜならば、世の中が複雑化・多様化すれば、必然的に、自分ひとりあるいは一部門だけで全てを問題解決することがどんどん難しくなってくるからです。そうなると何が必要になってくるかと言えば「組織知」と「人脈」です。自分ひとりで解決できなくても社内に出来る人や手伝ってくれる人がいれば問題は解決されます。

 そのためには、自社の「人材の見える化」が前提として必要となってきます。自社にどのようなノウハウがあり、それを誰が持っているかを知らなければ人を有効活用できません。また、あらゆるビジネスパーソンにとって、「他者の力を上手く活用して成果を出す能力」は今後ますます重要性を増してくるでしょう。(つづく)

(記事提供者:アタックス 稲垣 謙二)