国税不服審判所



 国税不服審判所は、いわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失は、雑損控除の対象とはならないとした裁決事例を公表しました。
 所得税法第72条に規定する雑損控除は、同条第1項により、「居住者またはその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令に定めるものの有する資産について災害または盗難もしくは横領による損失が生じた場合において」適用するものです。

 この事例は、納税者がいわゆる振り込め詐欺の被害に遭い、だまし取られた金額分の損失が、雑損控除制度の趣旨・目的に照らせば所得税法第72条《雑損控除》第1項に規定する「災害または盗難もしくは横領」による損失、または「災害」による損失、「盗難」による損失もしくは「横領」による損失のいずれかの損失に当たる旨を主張して、税務署に申告したものですが、認められなかったため、国税不服審判所に判断を仰いだものです。
 裁決では、「災害」、「盗難」、「横領」はいずれも別個の概念だとしております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成24年2月3日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。