国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあることを踏まえ、2012年度税制改正において、一定額を超える国外財産を保有する個人に対し、その保有国外財産に係る調書の提出を求める制度が創設されます。
 その年の12月31日に合計額が5千万円を超える海外資産を持つ個人は、その財産の種類や数量、価額その他必要な事項を記載した調書を、翌年3月31日までに、税務署長に提出することが義務付けられます。

 財産の評価については、原則として「時価」としますが、「見積価額」とすることもできます。
 また、国外財産調書に記載した国外財産については、所得税法の規定にかかわらず、財産債務明細書への内容の記載を不要とします。
 この目的は、国外財産調書を年に1回税務署に提出してもらうことによって、税務署が海外での預金利子や株式への配当などを正確に把握して、国内での適正な課税や徴収にいかすとみられています。
 さらに、国外財産調書の提出の義務化に伴い、罰則規定・特例が設けられます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成24年2月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。