東日本大震災の影響によって、被災地の取引先企業に対する売掛金債権などについて貸倒れが生じることが予想されます。
 法人税法上、法人の有する金銭債権や売掛金債権について、一定の事実が発生した場合には、貸倒れとして損金算入できます。
 また、消費税法上においても、課税事業者が課税資産の譲渡等を行って、その売掛債権について一定の貸倒れが生じた場合には、その貸倒れが生じた日の属する課税期間に消費税額を控除できます。

 税法上、貸倒損失が認められる事実は、法人税法上、消費税法上ともに同様で、
①債権の全部または一部が民事再生法などの法的手続きにより切り捨てられた場合(法律上の貸倒れ)
②債権の全額が債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能となった場合(事実上の貸倒れ)
③債務者との取引停止後、1年以上経過した場合等(形式上の貸倒れ)
のいずれかに該当しますと、貸倒損失が認められることとされております。
 法人税法上は貸倒れが生じた金額を損金算入、消費税法上は貸倒れが生じた課税期間の課税標準額に対する消費税額から貸倒れに係る消費税額を控除できます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成24年3月10日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。