◆評価ランクで判断しないこと
 信用調査報告書では、企業診断の評価を“評点”としてA・B・C・D・Eランクや1~5までの5段階評価などによって、総合評価が示されております。
 中小企業経営者に限らず、大手経理部門の実務担当者から責任者までの殆どの人は このランクを“与信など”を考える上で、主要な判断要素としているのではないでしょうか。また、「特記事項」に記されているイレギュラーな情報には、ついつい関心を高めてしまうようです。

◆調査会社の立場も考えて読むこと!
 総合評価の5段階の最下点(5又はE)に○を付した場合、一般的には調査依頼者は“警戒・危険水域”であるこの会社と取引を停止し、回収を最優先することになり、被調査会社は大きなリスクに見舞われます。
 もちろん、スバリ的中の評価もあるでしょうが、上記のようなことを考慮すると、調査会社は、倒産の直接的な引き金になるような評点を付けられるでしょうか。
 また反対に、警戒不要の意味をもつ最高点(1又はA)を付けた会社が倒産した場合には、その責任はどのようになるのでしょうか。
 二番手の“ほぼ安全や無難”の評点でも同様のことから調査会社はよほどの確信がある場合を除き、なかなか付けられないランクと言えます。そこで必然的に被調査会社の中小企業の9割前後は、中間ランクの3(又はC)でどちらとでも言える “少し注意”になっていると解釈した方が良いでしょう。

◆調査の情報を大いに活用しよう!
 会社の沿革、事業内容、取引先、取引銀行、所見や調査数値の決算書添付の有無、役員、不動産の有無やその所在地、決済条件などは大きな情報といえます。依頼者の誤りは、“調査会社の所見やコメント、評点や特記事項”だけによって、判断しようとしていることです。例えば、調査会社から得た情報を基に、不動産所在地が判れば登記簿謄本を取る。取引先が判れば取引先における主要取扱商品の市場の状況を見る。決済条件から資金需要を推測してみる。たいした時間をかけずとも、事実確認の過程で相当確信の持てる情報入手が可能となります。