独自技術・知的財産を秘密にしていては最大の受益者にはなれない その1

 熊本県のゆるキャラ『くまもん』は熊本県のイメージアップや県産品の売上げアップに大きな貢献をしていますが、熊本県はキャラクターの使用料を一切取っていません。使用の条件は熊本県産の食材や製品を使用すること(をうたうこと)のみで2012年の売上高が、少なくとも前年比11.5倍の293億6,200万円となりました。もし使用料を取っていたら、これだけの普及はあったでしょうか?

 また、世界中の人気キャラクター「キティちゃん」はハードルの低いライセンス契約をコンセプトにしています。条件として、「キティちゃん」に口をつけないことや、鼻と目の位置を固定するなどはありますが、多様なキティちゃんが世界中にあふれています。

 最近はスマホ向けに無料のアプリを公開して顧客を集めているところも増えています。最初は無料で使ってもらい、顧客を集めてから有料戦略に移行したり、広告媒体としてアピールしたりしているケースが増えています。

 今、みなさんが日常使っているインターネット。これも使用料はありません(プロバイダーは利便提供者です)。もともとは、ARPANETという米国の軍事ネットワークを民事に転用したもので、現在、IPアドレスやプロトコルについての国際管理は国際的な非営利団体が行っています。もし、米国が特許の申請をしていたら、これだけ普及していたでしょうか?

 米国はこの技術をオープンソース化し、誰もがインターネット技術の開発に参加可能にしました。その上で、米国はインターネット技術競争で勝ち、現在の優位性を築いたのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)