国税庁は、2011事務年度(2011年7月から2012年6月までの1年間)の相互協議の状況を公表しました。
 それによりますと、相互協議事案は143件(前事務年度157件)発生し、うち事前確認に係るものが112件(同135件)と、全体の発生件数の約80%を占めました。10年前の2001事務年度と比べますと、相互協議件数で1.6倍、事前確認に係る相互協議件数で2.7倍と増加傾向にあります。
 ただし、この2年間は、主に事前確認の減少により発生件数は全体として減少しております。

 移転価格税制は、法人と関連企業(国外関連者)との取引が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、その取引価格を正常な価格に引きなおして課税する制度ですが、相互協議は移転価格課税における二重課税を防ぐため、国税庁が外国の税務当局と交渉するものです。
 また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には、移転価格課税は行わないという制度です。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成25年4月11日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。