アベノミクスの第三の矢「成長戦略」は、株式市場から高い評価が得られませんでした。とはいえ、すべての人が批判的なわけではありません。なかでも、経済界からは前向きにとらえる声が多く挙がっています。成長戦略には、TPPや新しい税制による設備投資の促進策、そして再生可能エネルギーの普及や、石炭火力発電所の建設、原発の再稼働といった、企業の事業に密接な項目が多数掲げられており、こうしたことが業績向上につながると判断した企業が多くあります。

 なかでも、設備投資に関しては、「投資減税で法人負担を軽減する」との明記があり、これについて安倍首相は「世界から、ヒト、モノ、カネを呼び込んで、それを成長の糧にする」と強調しています。加えて、追加支援の姿勢も鮮明にしており、こうしたことから企業が実際に設備投資を大きく積み増す可能性が高まっています。

 さらに、経済界が高く評価したのは、秋に出される追加策の打ち出しです。そこでは、「思い切った法人税減税」が盛り込まれる予定です。企業にとって、法人税減税は好影響を与えることはいうまでもなく、大いに期待されています。

 これらから経済界では、成長戦略は日本の成長を促す点で、方向は間違っていないと考えられています。そのなかで、個々の企業では、成長戦略は新たなビジネスチャンスに繋がる要素と捉えることができるでしょう。そして、医療分野、エネルギー、インフラなど、多数の分野で目標が掲げられているので、今後、自社が注力していく事項を見出すことで業績向上に役立たせることができます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)