次世代自動車の開発を可能にした技術の一つに、インターネットへの常時接続が挙げられます。GMが来年、市場投入する車は「LTE」(高速通信サービス)に繋がることができ、これにより動画や音声など、従来の通信環境では、快適ではなかったものがサクサクと気持ちよく利用することが可能になるのです。

 また、iPhoneでもおなじみの音声認識の技術を用いることで、「明日の会議は何時から?」と言葉で話しかけると、言葉で答えを返すような機能も実現できるようになります。さらに、期待したいのは、各種センサーを駆使した、健康状態のチェック機能です。これにより、ドライバーに心臓発作などの不具合が生じたとき、自動で車を停止させるといったことも可能になります。

 こうしたGMの動きからは学ぶべき点、そして今後のビジネスチャンスを探るヒントが得られます。一つは、後発企業は市場のガリバー企業と同じ分野で競争するのではなく、異なった分野で勝負をかけることが重要だということです。そこには、従来の「輸送用機器」だった自動車を「オフィス」に変え、「秘書」にしてしまうといった大胆な発想の転換が成否のカギを握ります。

 そして、もう一つは、従来、自動車産業への参入は難しいと考えていた企業に対して、参入の窓口が広がったということです。今回の例でいうなら、全く異質の産業だった、ITと自動車が融合し、新たな事業が生まれました。自動車産業に限らずさまざまな産業で、こうした参入のチャンスが生まれる可能性があります。その機会を逃さずに、捉えることがより重要になります。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)