政府が「女性の活躍推進」に関して、具体的な政策目標を明らかにしたことを受けて、企業でも独自の数値目標を掲げるところが増えています。経団連によると、女性の管理職登用に関する自主行動計画を公表した47社のうち、27社が数値目標を設けているといいます。

 具体的には、トヨタ自動車は、女性管理職の人数を2020年までに現行の約100人から3倍の300人に、2030年には5倍にすると掲げました。このほか、東レや三井物産、日立製作所などがそれぞれ数値目標を公表しています。

 女性の就業率が高まることは、少子高齢化による労働人口の減少、働き手の不足といった社会が抱える課題の解決につながります。加えて、人材が多様化することで、今までとは違った視点で製品やサービスが生まれやすくなります。とくに、管理職層に女性の割合が増えることで、組織内での意思決定に変化が起こる可能性があります。これまでならば、価値が認められずに許可が下りなかった新規事業、そして製品やサービスの開発が生まれやすくなります。

 企業にとって、競争力が高まるよう、手を打つことは容易ではありません。そのなかで、女性の登用は、ユニークな商品やサービスを数多く提供することで、企業の競争力を高めることになります。そして、新規事業、新市場の誕生、さらには個々の事業が成功すれば、企業の成長といったことにつながります。ただし、現在、女性の管理職登用に関して、具体的な数値目標を掲げ取り組んでいるのは大企業が中心です。今後、どこまで広がるかが「女性の活躍推進」の成否を分けることになります。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)