内閣府がこのほど発表した、3月の「景気ウォッチャー調査」によると、現状判断(DI)は4ヶ月連続で上昇しました。総評として、「景気は、厳しいながらも、持ち直しの動きが見られる」としています。
 しかし、同調査で数値とあわせ発表される、さまざまな業種従事者のコメントはまだまだ苦境を物語っています。とくに、過当競争にあえぐタクシー運転手の言葉は、「どこまで落ちるのか、現状では見通しが付かない」、「繁華街も客待ちのタクシーであふれている」など、生々しいものがあります。

 タクシーの利用客が増えない理由には、経営者も心当たりがあるのではないでしょうか。いま、経費の節減のため可能な限り公共交通機関を使うよう指導し、タクシー使用の条件について厳格に“お達し”している会社が多くなっています。ましてや、私用でのタクシー利用などもってのほかです。
 このタクシーの使用目的は、税務当局も注目します。業務に必要な移動手段としてのタクシー使用料であれば、もちろん旅費交通費などとして損金算入できますが、役員が個人的な用事でタクシーを使用した場合の料金は、役員給与として扱われるため、損金算入は難しいといえます。

 さて、ここで間違えやすいのが、取引先と懇親会などを行う際のタクシー代です。取引先を飲食店などへ送迎するために負担したタクシー代は、「接待・供応・慰安・贈答その他これらに類するもののために支出するもの」として交際費となります。しかし、他社が主催する懇親会に、自社の従業員や役員を出席させるために使ったタクシー代は、得意先などに対して自社が行う接待のために支出するものではなく、自社の業務のために支出するものであるとされるため、交際費ではなく、旅費交通費として損金にできます。