(「中長期的な視点での雇用戦略が必要な時代1」より続く)

 厳しい時代に新たに人を採用するためには、そのための枠を“戦略的”に空けなければなりません。売上・利益を増やせれば一番良いですが、時には、現有社員の給与カットという荒療治も必要になるでしょう。人件費を変動費化するという人事制度の抜本的な改革も必要になってくるかもしれません。

 さらには今後、派遣社員、パート・アルバイトなどの非正規社員に関する法律は会社にとってどんどん厳しさを増してきます。今まで会社が調整弁として使ってきた施策も次第に使いづらい時代になります。正社員を雇うか、パート・アルバイトや派遣社員にするか、アウトソーシングにするか等、仕事内容に応じた人の使い分け、それも現在だけでなく、将来の会社の事業戦略を考えた「適正な人材ポートフォリオ管理」の重要性が増しています。

 不況期は、どうしても視野が狭くなりがちです。しかし、“とりあえず”当面を凌いだとしても、そのつけはすぐに現れます。特に、採用をはじめとした雇用戦略は企業の将来に影響するため、生命線とも言える重要な戦略です。今一度中長期的な視点に立って、雇用戦略を考えなければいけない時代にきていると言えるでしょう。(了)

(記事提供者:アタックス 稲垣 謙二)