掛け金の全額を必要経費または損金として計上することができる上に、条件を満たせば掛け金の100%が解約手当金として受け取れるなど、中小企業にとって二重三重に使い勝手のいい「中小企業倒産防止共済」。同共済の一部を改正する法律が4月21日に公布され、7月1日から適用開始となりました。

 今回改正となった内容は、取引先事業者が「私的整理」を行う場合も倒産として共済金の貸付けを受けられるというもの。以前は、「法的整理」と「取引停止処分時」のみが倒産として扱われていました。
 ここで「私的整理」として扱われるのは、取引先事業者から債務整理の委託を受けた弁護士などからの「支払停止通知」があった場合です。取引先事業者から支払停止通知を受け貸付請求を行うと、貸付審査の過程で中小機構が弁護士などに倒産の事実確認を行います。この際に、要件を満たしていれば貸付けを受けられますが、場合によっては要件を満たしていても、貸付けを受けられない場合もあります。

 なお、今回改正となった内容のほかに、共済金の貸付限度額を現状の3200万円から8千万円に、掛け金の積立限度額を320万円から800万円に、掛け金月額上限を8万円から20万円に引き上げ、さらに貸付額に応じて償還期間の上限が5年から10年に延長、早期償還手当金の新設などが予定されていますが、これらに関しては「同23年10月までに」という指針が示されているのみ。具体的な改正時期については「未定」ですが、「同23年以降になる見込み」とされています。
<情報提供:エヌピー通信社>