(「IPO増加のための施策の実施を その1」より続く)

 株式市場全体の低迷や、管理体制の整備の困難さなどの理由から、日本国内でIPOを行う会社の数が低迷し、また、日本より資金調達がしやすい韓国や台湾でのIPOを目指す動きが出始めています。こういった状況は、国内の証券市場の空洞化を招く可能性があります。

 このような中、金融庁は上場企業に義務付けている四半期報告制度や内部統制報告制度の簡素化の検討を始めました。具体的には、四半期報告制度ではキャッシュ・フロー計算書の記載をなくすことや、貸借対照表・損益計算書の開示項目の簡素化を検討しています。また、内部統制報告制度では対象範囲を絞り込むことを検討しています。

 これには筆者は大賛成です。四半期報告制度や内部統制報告制度が簡素化されれば、上場企業は時間もコストも節約できるでしょう。確かに、投資家にタイムリーな経営情報を提供することは必須です。しかし、過度な情報提供によりIPOが減少しているのであれば、本末転倒になってしまいます。

 日本経済の復活のためには、証券市場の活性化は必要です。証券市場を活性化させるためには、IPOの増加による取引所の新陳代謝も必須です。IPOを増加させるために、政府や取引所はその他にも様々な手段を実施すべきではないでしょうか。(了)

(記事提供者:アタックス 荒川 幸洋)