最近は円高傾向が一段と進む気配にあります。

 その背景としては、米国の低金利、ドル安政策の継続、また欧州においてはギリシャショックによるユーロ安懸念もあり、年末には1ドル80円を突破する予想さえあります。トヨタの財務担当役員は1円円高になると300億円の利益減になると発表しています。輸出に依存している企業は、大企業のみならず下請け中小企業も進行の止まらない円高に経営不安を感じています。企業経営者は先行きの不透明感からどうしても経営が慎重になり、設備投資、新規雇用は抑えがちにならざるを得ません。こんな経済状況下にあって、政府・与党は財源難の中でやっと具体的な経済対策を検討し始めています。

 8月19日付けの日経新聞朝刊によると、厚生労働省は大学生、高校生の就職を後押しするための就職支援制度を強化するとあります。就職氷河期という言葉は90年代のバブル崩壊後に生まれた言葉ですが、現在の就職状況は間違いなく超就職氷河期です。この春の大卒就職率は60.8%で前年度より7.6ポイント低く過去最大の下げ幅となっています。今回の支援制度は、新卒未就職者を受け入れる企業に3ヵ月間、1人あたり8万から10万円を毎月支給します。その上、正社員として雇用した場合の奨励金として50万円を支給することになっています。更に、大学、高校の卒業予定者だけではなく、今春の卒業者も対象にする計画です。(つづく)

(記事提供者:アタックス 丸山 弘昭)