(「環境問題をビジネスチャンスに その1」より続く)

 中堅中小企業も、今後、対策を講じる必要があると思われます。例えば、大手住宅関連会社に、木工部材を納入している企業では、その企業が独自に東南アジアなどから木材を仕入れている場合、その伐採先や加工業者の対応などを調査し、問題がある場合には改善を求められる可能性があります。食品の安全性が問題になった時に話題になった、原産地証明やトレーサビリティーなどのような仕組みが必要になる可能性があります。

 ある食品メーカーでは、これらに対応するため、仕入担当者や品質管理担当者が仕入先に出向き、仕入先と一緒に仕組みを構築し、また、仕組みどおり運用されているかどうかを監査し安全性を確保しています。これは、大変手間のかかる業務ですが、メリットもたくさんあります。安全性確保によるブランドイメージの毀損回避のほか、仕入先との関係強化によって、新たな商材の提案を受ける機会が増え、コスト削減・新商品開発につながったケースもあるのです。

 「名古屋議定書」と「愛知ターゲット」によって、製品原材料の調達先管理体制構築が必要となり、その対応は手間がかかる作業になると考えられます。しかしこれは、自らが海外仕入先に出向き、現地との関係を深めることによって、新商材開発や現地の市場開発などを実現するチャンスでもあります。手間はかかりますが、企業体質強化の機会として、対応することが求められます。(了)

(記事提供者:アタックス 諸戸 和晃)