総務省が行った平成22年7~9月の労働力調査によると、わが国の正規雇用者数は同21年同時期に比べ7万人ほど減少したことがわかりました。また、調査結果を詳しく見ると、平成18、19年こそ正規雇用者数は増加していますが、それ以降は減少の一途をたどっていることが分かります。「人材は会社の命」とよく言われますが、企業の非正規雇用化が進む中、派遣社員をはじめとする非正規雇用者にも、正社員と同様の能力が求められる時代へと変化してきています。そのため、派遣社員に対して、正社員と同様の教育訓練を実施する企業も増えているようです。

 ところで、中小企業が社員に対して教育訓練を行った場合には、「中小企業者等における教育訓練費の税額控除」が適用可能です。これは、青色申告する中小企業が教育訓練を行った場合、①損金算入される労務費のうち教育訓練費の占める割合(教育訓練費割合)が0.15~0.25%であれば、教育訓練費×「(教育訓練費割合-0.15%)×40+8%」②教育訓練費割合が0.25%以上である場合には、教育訓練費の12%相当額――を限度に税額控除できる制度です(法人税額の20%相当額が上限)。

 社員教育に力を入れている企業では是非とも活用したい制度ですが、対象となる教育訓練は「法人がその使用人の職務に必要な技術や知識を習得させ又は向上させるために支出する費用」とされており、派遣社員への教育訓練も対象となるのか疑問が残るところ。
 これについて国税庁は、派遣社員が、正社員と同一の職務に従事し、かつ、正社員と同一の職務にかかる教育訓練(正社員等を主体としたものに限られる)に参加している場合には、同制度で言う「教育訓練費」に含まれるとしました。
<情報提供:エヌピー通信社>