(「リスク耐性のある経営の実現 その1」より続く)

 今回の大震災においては、日本航空と同様に経営計画の修正を行わざるを得ない企業が多数発生していると推察できます。しかし現実を冷静かつ客観的に分析し、まず行うべきことは、今後1年程度の資金繰りの状況を把握し、資金破綻を起こさないように目の前の危機を回避することです。

 次に、経営トップは、今後の経営環境の変化が不透明であっても、自社の将来像を描くという最も重要な仕事があり、その将来像の実現に向け、先を見据えた手を打つ必要があります。

 その際に、この数年間で今回の大震災やリーマンショックのようにリスクが広範囲で顕在化しているため、経営計画の修正にあたっては、考えうる限りの事業上のリスクを明確にする必要があるのです。

 経営資源が限定される中小企業においては、リスクに対して全ての対応策を講じることは困難であると推察できますが、「リスク耐性のある経営の実現」は、全ての企業にとって解決すべき重要な経営課題であり、この解決の方向性は、リスクに即応できる組織能力の向上にかかっています。(了)

(記事提供者:アタックス 錦見 直樹)