(「危機において問われる組織対応能力 その1」より続く)

 今回の地震および津波は様々な事業継続リスクを出現させました。人および設備への直接的な被害のほか、通信、道路・港湾、電気・水道等のインフラの停止、基幹システムの損傷、仕入先が被災したことにより部材が十分に調達できなくなったこと等です。

 事業継続を脅かす事象が発生した場合に組織として具体的にどう対応すべきかについて、時間を割いて検討する余裕がない企業も多いことでしょう。そうであっても、今回の震災体験によって、多くの「備えをしておけば防げたこと」についての気づきがあったのではないでしょうか。それを見過ごしてはいけません。

 BCP策定の目的はあらゆるリスクについて完全なガイドを提供することではありません。実際は多くの想定外の事象が複雑に絡まって起こるものです。それでも起きた事象に対して迅速・的確に対応できるよう、組織の一人ひとりの応用力を高めることが重要であり、それこそが本来の目的と考えたいものです。

 応用力を高めるには、平時から最低限必要な備えについて、経営者、幹部、従業員がコミュニケーションを十分に行っておくことが求められます。(了)

(記事提供者:アタックス 川合 和人)