手厚い手許資金を原資に大企業がM&Aや再編を活発化させています。国内市場の縮小や東日本大震災を機に収益源の分散や事業再構築を進めようとしているのです。

 リコーによる、HOYAのペンタックス事業買収についての話題が新聞で報道されました。このM&AによってHOYAは非中核事業の売却を、リコーは自社のデジカメ事業の強化やペンタックスの欧米販路の活用を図るといいます。両社とも、M&Aというツールを使って事業の再構築を短期間に成し遂げようという考えです。

 ではM&Aを活用した事業再構築や業界再編、経営統合と言った話は大企業だけのものなのでしょうか。答えは否であると私は考えます。

 日本の名目GDPは1997年から昨年までに36兆円も減りました。デフレによって様々な業界で販売価格が下落しています。そして今後の人口減少と少子高齢化の進展により、間違いなく内需の減退は進んで行くことでしょう。自社単独での競争戦略やコスト低減の積み重ねだけでは、中長期の展望が見えなくなってくるのは中堅中小企業もまったく同じです。(つづく)

(記事提供者:アタックス 廣瀬 明)