(「事業再構築のツールとしてのM&A その1」より続く)

 むしろ経営基盤の弱い中堅中小企業だからこそ事業再構築や業界再編、経営統合を模索することを諦めてはならないと思います。

 個の強みや合理化策は、統合する会社・事業全体に展開できれば効果はより大きなものとなるでしょう。一企業では見えない将来展望が見えてくることも多いのではないでしょうか。自社の強みを日々磨きながら将来の事業再構築の構想を練ることは、正に経営者の大切な仕事の一つです。

 一方、中堅中小企業にとってM&Aは簡単なことではありません。経営と一体化したオーナーシップ、脆弱な財務内容、M&Aの企画・推進や統合作業面での人材不足など、大企業とは違った課題が多いのです。大切なのはM&Aの企画・交渉・実行などの実務に長けた、信頼できる専門家を活用することです。すべて自力で解決しようとすれば困難に直面して頓挫してしまったり、高値づかみや買収後にリスクが発覚するなどの失敗を多くの会社が経験しておられるのを私は見聞しています。(了)

(記事提供者:アタックス 廣瀬 明)