B型肝炎訴訟については現在、全国の10地裁で訴訟が係属していますが、札幌地裁で示された所見に基づいて、国と全国の原告団との間で損害賠償責任に関する基本合意書が締結されました。これを受けて、厚生労働省は国税庁に対し、合意書に基づいて支給される和解金に係る所得税の課税関係について文書による照会を行いました。

 厚生労働省からの照会内容は、「和解金は、基本合意書を踏まえて過去の集団予防接種での注射器の連続使用に起因してB型肝炎ウイルスに感染したと認められた人に支払うもの。損害賠償金または見舞金としての性格を持つものとして、所得税法9条1項17号および同法施行令30条に規定する『非課税所得』に該当すると考えて差し支えないか」というもの。和解金は国から被害者への「損害賠償金」「見舞金」であるとの前提のうえで、非課税所得の扱いになるかどうかを照会したものとなっています。

 これについて国税庁からは、「照会に係る事実関係を前提とする限り、差し支えない」という回答がなされました。なお、国から原告らに支給される「除斥期間を経過した無症候性キャリアに支払われる検査費用等」、「母子感染、父子感染及びジェノタイプに関する検査費用」、「弁護士費用相当額」などについても、和解金と同様に非課税所得に当たると回答しています。
<情報提供:エヌピー通信社>