金融庁は、金融機関に対してデット・デット・スワップ(Debt Debt Swap、略して「DDS」)の活用を促すようです。DDSとは、債務超過である企業の金融機関からの借入金の一部について、他の債務より返済順位が低く、返済期限が長期である劣後債へ転換することをいいます。

 一定の条件を満たす劣後債については、金融機関が企業を評価する場合に負債ではなく純資産とみなすことができます。そのため、純資産の金額を大きくすることができ、金融機関はDDSを行う前より企業を高く評価することができるのです。逆に、企業としては、金融機関からの借入金の金額に変更はありませんが、借入金の返済期限が長期となるため、資金繰りを安定化できるというメリットがあります。

 DDSは、金融機関・企業両者にとってメリットがありますが、金融機関は全ての企業に対してDDSを認める訳ではありません。DDSを認めるということは、企業に対する貸出債権の一部が長期間返済されないということです。そのため、DDS対象外の貸出債権の返済可能性が高い企業でなければ、金融機関があえてDDSを行うことはありません。貸出債権の返済可能性が高い企業とは、今後利益を確実に生み出し借入金を返済できる企業をいうのです。(つづく)

(記事提供者:アタックス 荒川 幸洋)