イギリスのスーパー最大手テスコが、日本市場から撤退することを決めました。8月31日のことです。

 テスコは徹底した効率経営で知られており、豊富な資金力を強みに、ウォルマートやカルフールを相手に、グローバル戦略を積極展開しています。にもかかわらず日本市場から撤退し、アジア新興国に軸足を移すそうです。首都圏を中心に「129店舗」も抱えているにもかかわらず、なぜでしょう?

 フランスの大手カルフールも2005年に日本から撤退しています。ウォルマートの日本における経営環境も磐石ではありません。これらの事例からも、うまくいかなかったのはテスコ特有の問題ではない可能性が高いと思われます。

 外資系スーパーが日本に根をおろすことができない理由は諸々あげられていますが、営業コンサルタントである筆者は「商習慣の違い」をあえて取り上げたいと思います。

 たとえば外資系スーパーが日本市場を分析し、正しいマーケティング戦略を打ち出したとします。日本の食文化を研究して品揃えを整え、さらに徹底した効率経営によるコストリーダーシップをとったとします。

 しかし勝てないのです。それはメーカーや問屋と、正しい協力関係を築けなかったからではないでしょうか。(つづく)

(記事提供者:アタックス 横山 信弘)