(「復興のスピードを上げよ その1」より続く)

 一方、消費税の増税は、震災復興の財源を多くの人が広く薄く負担すべきであるとすれば適しているのかもしれません。識者によっては、消費税率を復興消費税として3年間にわたって1%ずつ引き上げ、3年後にはこの復興消費税を廃止するとする具体的な案も出されていました。しかしこの案は、経済活動に混乱を招くのは必定であり机上の空論と考えます。そもそも消費税の増税については社会保障目的税として議論されるべきであって、財源捻出議論のたびに消費税を「打出の小槌」のように取り扱ってよいものでしょうか。消費税増税は震災復興と切り離して議論すべきであり、今回、消費税増税が見送られたのは幸いです。

 増税法案は、野党との事前協議を経た上で、10月下旬に国会に提出されました。ねじれ国会という物事が決まらない状態ではありますが、いま政治に求められているのは、具体的な復興事業計画と復興財源確保を国家の成長戦略として一体で議論、決定し、復興のスピードを上げることだと思われます。(了)

(記事提供者:アタックス 春田 恭輔)