警察庁の調べによると、空き巣やスリ、自動車盗難など、窃盗の被害は年々減少傾向にあるとはいうものの、平成23年は113万3127件が認知されており、検挙数は30万5924件にとどまっています。万が一盗難によって資産に損害を受けた場合には、災害の被害を受けた場合と同様に雑損控除が受けられるので、あらためて確認しておきたいところです。

 雑損控除は損害を受けた資産の所有者本人、または生計を一にする配偶者やその他の親族に適用されます。後者はその年の総所得金額が38万円以下の人が対象となります。さらに、損害を受けた資産が家具や衣類など生活に通常必要な資産であることが条件となり、書画や骨董、貴金属などで1個または1組の価額が30万円を超えるものは対象となりません。
 クレジットカードが盗まれた場合は、他人が不正使用した分の損害を実際に負担すれば、雑損控除の適用が認められます。このため、カードの不正使用による損害が保険などでカバーされた場合には、対象にはなりません。

 雑損控除できる金額は次のうちで、いずれかの多い金額となります。①(差引損失額)-(総所得金額等)×10%、②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円。ただし、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間を限度として繰り越して各年の所得金額から控除することができます。なお、雑損控除はほかの所得控除より先に控除することになっています。
 また、差引損失額は損害を受けた直前の、その資産の時価を基にして計算した損害金額と、災害により滅失した住宅や家財などを取得したり除去したりするために支出した金額を合算した金額から、保険金や損害賠償金などによって補填される金額を差し引いた額となります。
<情報提供:エヌピー通信社>