(「資金調達に役立つ金融検査とは その1」より続く)

 では、借り手である中小企業は、金融検査マニュアル別冊をどのように活用すればいいのでしょうか?

 具体例として、家電販売業者B社とタオル販売業者C社のケースをみてみましょう。

 B社は、近隣地区に大型量販店が進出した影響を受け、売上げがピーク時の2/3に減少し、2年連続赤字を計上、前期は債務超過となりました。しかし代表者が定期的に債務者に貸し付けることにより返済することで遅延は発生していません。また、同業他社との連携やアフターサービスに力を入れた効果が現れ、赤字は解消傾向にありました。中小企業は、経営者と企業の財産や収入が一体となっているケースが多く、その点が考慮され、特段の問題がない貸出先と評価されました。

 一方C社は、海外からの安価な製品の流入などによる取引先からの納入単価切下げ要請に耐えきれず、売上げが大幅に減少し、3期連続赤字を計上、前々期より債務超過に陥っていました。しかし、返済条件の緩和によって返済遅延は発生していないこと、前期末に開発した試作商品が関係者間で好評であったことや、従来の販売ルートに向けて拡販の準備をしていたことが評価され、注意は必要だが経営破綻に陥る可能性は高くない貸出先と評価されました。

 いずれも、中小企業の特性を考慮したことにより出された評価です。金融検査マニュアル別冊の内容を確認し、アピールできるポイントを探っておくことが有効でしょう。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)