福島第一原発事故のあと、原発停止にともない節電の必要性が高まっています。そんななか、節電、発電、蓄電に関連する製品は電力不足の解消という点で、今後の成長が期待される市場の一つです。とくに、「自家発電設備」「自宅用太陽光発電システム」や、つくった電気をためておける「リチウムイオン蓄電池」、ガスで効率よく温度調節する「高効率ガス空調設備」など、今後、売上が伸びることが予想される製品やシステムがあります。

 なかでも、この分野で注目を集めているのが、ホームエネルギーマネジメントシステム(家庭内エネルギー管理システム)です。頭文字をとって、“HEMS” 「ヘムス」と呼びます。ひと言でいうと、これは家庭内の電力の使用状況を可視化するシステムです。センサーやITを駆使して、家庭内のエアコンや照明、IHクッキングヒーターなどの機器をシステムに繋ぐことで、その電力使用量をパソコンや携帯電話から、リアルタイムで見ることが可能になります。

 そうすることで、利用者の節電意識が高まり電力を効率よく使うようになることがこのシステムの狙いです。たとえば、誰もいない子ども部屋のエアコンがつけっぱなしになっていると、モニターに状況が映し出され、電気のムダづかいが一目でわかります。さらには、リビングにいながら、このエアコンをオフにでき、簡単に節電ができます。

 これまでの節電というと暑さ寒さを我慢したり、暗いなかで不便を強いられたり、と辛さが伴うものでしたが、ヘムスは苦痛のともなわない、明るい節電ができる期待のシステムといえます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)